今から20年前の1997年10月15日に、アメリカ航空宇宙局(NASA)によって土星探査機カッシーニ・ホイヘンス (Cassini-Huygens)は、土星探査ミッションの為打ち上げられました。
そして約20年経った2017年9月、その役目を終えるために軌道を変える日が、4月26日でした。
本記事ではそのカッシーニを紹介します。
カッシーニの歴史
1997年に打ち上げられたカッシーニは2004年6月30日、約7年もの時間をかけて遥か15億km先の土星の周回軌道に到着しました。
そのわずか2か月後の2004年8月に土星の周りをまわる衛星、メトネとパレネを発見します。
土星衛星「メトネ」
それからも次々に衛星を発見していくカッシーニですが、2004年12月にホイヘンスという小型惑星探査機を土星に送り出します。
このホイヘンスは土星に、液体のエタンの雨が降ること、その雨で出来た海の発見や、砂漠の発見をしています。
さらに2009年には土星の輪の「消失現象(実際に消えているわけではなく、消えているように見える)」を観測。
2013年4月に土星にも地球と同じようにハリケーンがあることを観測。
同年7月、15億キロ先から地球を撮影。
2014年、「生物がいる可能性が最も高い太陽系内の星」の「エンケラドゥス」に海を発見。
そして2017年9月15日、原子力を使っているカッシーニが制御不能になって、生命が存在する可能性がある星「エンケラドゥス」に衝突し、環境汚染を引き起こすリスクを避けるため、土星の大気圏に突入させ破壊する予定です。
さらばカッシーニ
カッシーニの総費用は約34億米ドルも掛かっており、近年の惑星探査においては最大規模の探査機でした。
カッシーニ以降、NASAはディスカバリー計画のように低予算の探査機を打ち上げる傾向にあります。
そしてカッシーニは、土星と土星の環の間の2400キロメートルほどの隙間へと飛び込むための軌道変更を4月26日に行います。
4月26日からミッション終了を迎えるまでの5か月間、土星の環の構造や土星の起源に迫るデータを得るため最後の観測が行われる予定です。
20年もの間ずっとそばにいて見守っていた星の一部となって消えていくカッシーニ探査機。燃え尽きるその瞬間、何を想うのでしょうか。