「結局ジェットストリームなんだよなぁ。」
私が以前勤めていた会社の上司はこんなことをしばしば口にしていた。
『書きやすいし。安いし、コスパ最高だよなぁ。ほら、お前も一本あげるから使ってみ。」
カキカキ…
「…!! た…確かに書きやすい!めっちゃ書き心地なめらかですね!」
いままでディズニーランドのお土産でもらったドナルドダックのボールペン(これもこの上司にもらった)を使用していた私は舐めていた。
たかだか200円のボールペンにそこまで違いはないだろうと高をくくっていたのだ。
どうせ違いはないのだったら見た目の可愛いドナルドがいいに決まっている。
しかしそれは「違いがなかったら」の話だ。
「あった」のだ。違いが。
『もらっていいんですか!?ありがとうございます!(200円だけど)』
たかだか200円のボールペンをもらったことよりも、これほどにコスパの良いボールペンに巡り合わせてくれたことに対する感謝の気持ちだった。
「今後ボールペン買うと言ったらジェットストリームだな。」
人生の相棒が見つかった気分だった。
言うなればユニクロのストレッチジーンズ。
決して飛び抜けてオシャレではないが、着心地と値段の兼ね合いにおいて右に出るもの無し。
一度着たらわかるその快適さ。
そういえば以前にこんな事もあった。
それは確か4、5年前にbicのライターに出会った時だった。
喫煙者なら一度は目にしたことがあろうこのライターは、通常より少し高めの150円。
カラフルな色が特徴で、一目見ればbicのライターと分かる。
このライターのいいところは見た目のオシャレさもそうだが何より火の着け心地がいいのだ。
シャッ!っと火をつけるときに親指に吸い付くような感覚。
おおぉこれぞbic。
禁煙に成功した今でこそ使う機会は少ないが、この時も生涯の相棒が見つかった気分だった。
そしてbicのライターのさらにいいところは、その製造国だ。
おそらくこれを知っている人は少ないと思うのだが、bicのライターの銀色の金具部分には製造国が刻印されている。
しかもSpainかFranceである。(お・・・オシャレ)
コンビニでbicのライターを買う時は、まず色を決め、その次に製造国を確認するという2つの楽しみができてしまうのだ。
これがmade in Chinaだったらどうだろう。
爆発したら嫌だから普通のスケルトンのライターにしよう。で終わっていたはずだ。
こうして「いつも使っているものがさり気なくSpainとFranceだったら少し誇らしい気持ちにもなろう。消費者も喜ぶだろう。」というbicの会社の販売戦略にまんまとハマってしまったのだ。
しかもさり気なく刻印していることころがなんともニクいねぇ。
言うなればバーバリーのトレンチコート。
そのシルエットは至って普通だが、時折見える裏地のチェックがイギリス王国の誇りと伝統のブランドを強烈に印象付ける。
・・・
一体何の話をしてるんだっけ。
結局ボールペンの至高はジェットストリーム、ライターの至高はbicなんだよなぁ。という話でした。
さぁて、もう定時だし、タイムカード押して帰るかな。